大平数子さんの詩「やかん」

 

「やかん」

原爆より三日目に吾が家の焼けあとに呆然と
立ちました

めぐり めぐって たづね あてたら
まだ灰が あつうて
やかんを ひろうてもどりました
でこぼこの やかんに なっておりました

やかんよ
きかしてくれ
親しい ひとの 消息を
やかんが
かわゆうて
むしょうに
むしょうに さすって おりました

〜おわり〜

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